プロバイオティクスとは
病気を予防するプロバイオティクス
最近、プロバイオティクスという言葉が一般でも聞かれるようになった。本題に入る前に、このプロバイオティクスについて触れておきたい。プロバイオティクスとは「消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物と、それらの増殖促進物質」のこと。つまりプロバイオティクス機能を持つ微生物を摂取すると、それが消化管内(口腔内や腸内)のフローラ(細菌叢)に作用し、フローラの健常化をはかりながら、疾病の予防、改善などを行う、というものである。
プロバイオティクスと抗生物質
プロバイオティクスが注目を集めている背景には、抗生物質(アンチバイオティクス)の問題がある。抗生物質は病原菌に対して即効性があるが、一方で副作用や耐性菌が問題視されているからだ。抗生物質は殺虫剤のようなもので、害虫のみならず、作物や土壌にも悪影響をもたらす。これに対しプロバイオティクスは益虫に例えられ、作用は穏やかだが、環境(体)への害はほとんどない。また、感染症の予防に用いられるワクチンは、体内に吸収されて体の内部で働く為、副作用が起きた場合、体に与えるダメージが大きい。これに対して、プロバイオティクスは消化管腔内、つまり表面が活躍の場である為、安全性が高い。
プロバイオティクスの可能性
プロバイオティクス研究において、現在までにその効果が確認されているものを右記に示した。この中でも今回我々は、口腔内細菌による感染症、つまり歯周病や虫歯、口臭の原因菌に対するプロバイオティクスの可能性を検証した。その結果について次章以降で順次述べて行く。